top of page

処理水放出への想い

  • 2023年8月31日
  • 読了時間: 2分

8月24日、東京電力・福島第一原子力発電所の事故から12年半、ようやく原子炉デブリから出る汚染水を処理した、ALPS処理水の海洋放出が始まった。中国は反対しているが、この作業は廃炉に向けこれから30年、粛々とやり続けなければならない。原発の空撮映像で、1000基以上のタンク群を見ると壮観だが、気になることがある。タンクが設置されている場所は、断崖の上にあり原発敷地の海抜と明らかに違う。この光景を見るたびに、なぜ30mある断崖を10mまで削って建設したのか、胸中複雑である。

 福島第一原子力発電所は、1号機はアメリカのGE、2号機は東芝、3号機は日立、こ3機がメルトダウンを起こして、大惨事を招いた。GEの1号機は、海抜10mで設計されていたが、15mにすべきという意見もあったが、設計を変更すると多額の費用が掛かるということで、結局GEの設計どおりとなった。この決定が、40年後に未曾有の大惨事をもたらすとは、東京電力も想像できなかっただろう。東日本大震災時の津波は14.8mであったので、この5mの差が天国と地獄の分かれ目となった。女川原発は海抜15mに建設され、かろうじて津波の被害を免れたことを考えると、残念でならない。

  それではGEは、なぜ海抜10mで設計したのかといえば、アメリカでは津波は想定されておらず、竜巻から守るために非常用電源を地下に設置することが重要であった。皮肉にも、この地下に設置された非常用電源が津波で浸水し稼働せず、電源喪失となり原子炉に水を送れなかったことが、メルトダウンにつながった。原発は、電気と水が生命線であることを、改めて教えてくれた。東京電力は、安全神話に酔い、津波に対する認識が甘く、過小評価したことが、大惨事につながったことを、大いに反省しなければならない。

  福島第一原子力発電所の事故から学ぶべきことは、津波の恐ろしさと、電気と水の大切さと、風評被害の深刻さである。風評被害を大きくした一因に、原発に「県名」を付けたことにあるのではないか。もし、所在地の「町名」双葉原発であったならば、これほどの風評被害にはならなかったのではないか、検証が必要である。甚大な被害をもたらす原発事故は、二度と起こしてはならない。

 
 

最新記事

すべて表示
豊臣兄弟2

7月26日、NHK大河ドラマ「豊臣兄弟」は、「天下への道」のテーマで山崎の戦いが放映された。山崎の戦いは、秀吉の備中からの中国大返しで主君信長の弔い合戦に挑み、光秀を打ち破った戦いとして有名である。秀吉は、この戦いで勝利したことが、天下取りの第一歩となった。それにしても、備中高松城から山城国山崎まで230キロを、武具を付けて一週間余りで踏破したのだから、驚異的である。  「天下への道」の中で一つ気

 
 
活動期の地球

6月26日、山梨県富士河口湖町で震度6弱の強い地震があり、富士山との関連が心配される。気象庁は、富士山の火山活動に異常はないと発表したが、1707年に大爆発して以来320年間休止している富士山は、過去およそ5600年間に180回もの噴火を繰り返してきた活火山である。記録に残る一番古い噴火は781年の天応噴火で、平安時代には頻繫に噴火したことが記されている。  2011年の東日本大震災は、869年の

 
 
イラン攻撃に想う

5月28日、アメリカによるイラン攻撃から3ケ月、今だに先行きの見えない状況が続いている。3月の高市首相訪米の折、トランプ大統領は「望めば2秒でこの事態を終わらせることができる」と豪語したことが思い出される。しかい、毎日のように発言が変わり、ディールの達人の手腕が問われている。トランプ大統領のディールは、したたかなイランとの交渉に行き詰まり、焦りの見える今日この頃である。ホルムズ海峡の閉鎖は、世界中

 
 
bottom of page