住職のブログ

新生日本の創出 (住職のブログ

2024/04/30 (火)

4月28日は、日蓮聖人が建長5年(1253)千葉県清澄山で初めてお題目を唱えてから772年、立教開宗を宣言した記念すべき日である。今年の立教開宗会は、コロナ禍で中止が続いたので、5年ぶりの開催となった。お寺の年間行事は、コロナによってすべて中止となり、寂しい限りであったが、ようやく通常開催が可能となり、一安心である。コロナの影響で、葬儀や法事は家族だけで行われ、親戚や友人との関係が閉ざされてしまった。その結果として、人間関係が希薄となり高齢化と相俟って、社会全体の活力が失われてしまった。
 人間は社会的動物であり、人との繋がりの中で生きているので、コロナによる日本社会や経済へのダメージは大きかった。巷では、34年ぶりの円安ニュースが溢れ、この傾向が永久に続くような雰囲気になっているが、歴史的に見れば1990年に付けた160円の円安も、5年後の1995年4月には79円の超円高を記録している。この年は、1月に阪神淡路大震災、3月にはオウム真理教による地下鉄サリン事件と、社会を揺るがす大事件が起き、忘れられない年であった。
 この超円高は、日本企業を直撃し工場の海外移転を加速させ、日本経済の空洞化を招く契機となった。この結果、若者の就職氷河期をを招き、失われた世代を生み出すこととなった。当時、本国寺檀家の中にも米国や欧州に転勤する話が出てきて、驚いた記憶がある。この話を聞いて、日本企業はアジアだけではなく、世界中に工場移転する時代になった事を、実感した。この一連の出来事は、親たちの世代には考えられない時代の到来を、告げるものであった。
 日本は、昭和35年(1960)の池田首相の所得倍増計画のもと、親たちは驚異的な高度経済成長時代を謳歌してきた。この時代を知る親世代は、まさか失われた30年を経験するとは、夢にも思わなかった。景気の循環で、その内に景気が良くなるだろうと思っていたが、結果的には予想は見事に外れた。これからの30年は、今までの失敗を教訓に大リーグで活躍する大谷に習い、世界に冠たる新生日本の創出を目指さなければならない。

尊富士と大谷選手 (住職のブログ 未分類

2024/03/31 (日)

3月24日、大相撲春場所で尊富士が110年ぶりとなる、新入幕初優勝という歴史的快挙を成し遂げた。尊富士は、前日の取り組みで足を負傷し、救急車で病院に運ばれ、千秋楽の出場が危ぶまれていた中での優勝だけに、より一層の感動を呼んだ。尊富士の速攻相撲は魅力的で、東北青森が生んだ角界のスピードスターとして、大相撲を大いに盛り上げてもらいたい。今場所は、もう一つ嬉しい出来事があった。それは、時疾風(ときはやて)が宮城出身力士として、五城桜以来27年ぶりの新入幕を果たしたことである。こちらも来場所の活躍を楽しみにしている。
 一方、東北岩手が生んだ野球界のスーパースター大谷選手は、ドジャース移籍でスポーツ選手として世界一の高給取りとなり、そして結婚と前途洋々と思われた。しかし、通訳の水原一平氏の違法賭博に巻き込まれ、水を差されてしまった。「好事魔多し」(良い事にはとかく邪魔が入りやすい)とはよく言われるが、世の中甘くないことを改めて思い知らされた。お釈迦様はこの世は「四苦八苦の娑婆」であると教えている、つまり、人生には苦労が付きものである。大谷選手が、この苦境をどう乗り越えるのか注目である。
 このスキャンダルが明らかになったのは、韓国での開幕戦である。開幕戦でのベンチの中の水原通訳の様子がいつもと違い、顔色が悪く肌がカサカサで、どこか体調が悪いのかと見ていた。すると、突然「水原一平氏との契約解除」のテロップが流れた。一体何が起こったのか、ただ驚くばかりで信じられないニュースであった。大谷選手と二人三脚で今まで頑張ってきた姿を見ていただけに青天の霹靂であった。その後、水原通訳は「ギャンブル依存症」であることを告白し、違法賭博で多額の借金を作り、それを大谷選手が肩代わりして支払ったとの報道で、大騒ぎとなった。しかし、3月26日大谷選手が水原通訳の話がウソである事を表明し、ようやく鎮静化した。
 先週一週間は、日本の国技である大相撲の尊富士の110年ぶりの衝撃的な優勝、米国の国技であるベースボール大谷選手のスキャンダルと、大変な7日間であった。それにしても、水原通訳の仕業は万死に値する。大谷選手がこの悔しさをバネにワールドシリーズ制覇という、最高のシーズンを送ることを願っている。

失われた30年 (住職のブログ

2024/02/28 (水)

2月22日猫の日、東京株式市場は、バブル期の1989年12月29日に記録した38,915円の最高値を、34年ぶりに更新した。日本の失われた30年の間に、米国株は14倍ドイツ株は9倍韓国株は3倍となっていたので、日本株低迷は一目瞭然である。バブルがはじけた1990年、まさかこれほど長く日本経済が停滞するとは、予想できなかった。今の中国を見ていると、当時の日本人のメンタリティーと同じように、高度成長の夢から覚めるのには、もう少し時間がかかるだろう。日本は、バブル崩壊から立ち直るのに、時間がかかりすぎたことを、反省しなければならない。
 今回、史上最高値をけん引したのは、半導体関連銘柄と言われているが、バブル崩壊の前兆となったのも、アメリカによる日本の半導体つぶしであったことを考えると、歴史の皮肉を感じる。当時アメリカは、日本との大幅な貿易赤字を抱え、その是正のため日本に貿易戦争を仕掛けてきた。今、アメリカが中国に仕掛けている貿易戦争も、当時の日本へのやり方とよく似ている。日本は、アメリカから高い関税をかけられ、アメリカへの輸出が困難になった。その結果、日本国内では企業の海外移転が進み、就職難と消費不足そこに円高が重なり、デフレ経済が慢性化した。中国も日本と同じ轍を踏むのか、注目である。
 失われた30年でよかったことは、スポーツ界の躍進、特にサッカーJリーグは、30年で目覚しい発展を遂げ、アジアNO1の地位を確立した。しかし、「好事魔多し」格言通り、今回のアジアカップでは、優勝候補と言われたがベスト8で終った。この大会での失敗は、GK鈴木を起用しづけたことである。初選出の21歳のGKには、真剣勝負は荷が重すぎた。鈴木は一番年下で、先輩のDF富安や板倉への遠慮があり、コミニケーションやコーチングが不足し、全試合の失点につながった。日本社会では、まだまだ「長幼の序」が生きていることを、森保監督は考慮すべきであった。来月始まるワールドカップ予選では、この失敗経験をしっかり生かしてもらいたい。
 失われた30年を経験した日本経済は、最高値を更新したことに浮かれることなく、これからの30年でJリーグと同じように躍進し、株価が2倍3倍になることを期待している。ウオール街の格言に、「強気相場は絶望の中で生まれ、懐疑とともに育ち、楽観により熟し、陶酔のうちに終わる」とあり、今の日本の相場は「懐疑とともに育っている」と考えられるので、楽しみにしている。これからの日本経済が、黄金の30年になることを願っている。

能登半島地震 (住職のブログ

2024/01/30 (火)

1月1日、群発地震が続いていた能登半島がM7.6の大地震に見舞われた。石川県は、地震の少ない地域と言われてきただけに青天の霹靂だろう。能登半島の家屋は、北陸地方独特の黒い瓦屋根で雪や風には強いが、地震には脆かった。石川県は、企業誘致のHPで「石川県の地震リスクは小さい」と説明していたが、不思議なことに熊本県も同じ企業誘致のHP内容であった。この事は、日本中どこでも危険であることを示している。日本に住んでいる限り、地震対策は必要不可欠であることを、肝に銘じなければならない。
 地震の多い宮城県は、昭和53年(1978)の宮城沖地震で、瓦屋根の家が大きな被害を受けたので、今では新建材の屋根がほとんどである。地震対策で一番有効なのは、屋根を軽くすることである。北陸地方の屋根も、今回の経験を契機に地震対策を見直す必要がある。日本列島は、静穏期から活動期に入り、地震が頻発する時代になったことを、自覚しなければならない。能登半島の地震被害の映像を見るにつけ、命を守るためにも地震対策の必要性を、改めて考えさせられた。
 それでは、いつから日本列島が活動期に入ったのか、その転換点になったのは、1995年の阪神大震災である。これ以降、大小様々な地震災害が起き、その象徴は2011年の東日本大震災である。東日本大震災は、M9。0死者・行方不明者2万人と未曾有の大惨事となったが、この二つの大震災には興味深い共通点がある。阪神大震災は社会党の村山首相、東日本大震災は民主党の菅首相と、自民党が政権を失った時に起きている事である。「二度あることは三度ある」の格言に照らせば、次に大震災が起きるのは、野党が政権を取った時なのだろうか。「神のみぞ知る」である。
 今、巷で心配されている大震災は、南海トラフ巨大地震である。この巨大地震は、東海地震・東南海地震・南海地震の三連動で、東海地方から九州地方まで広範囲に及び、日本経済に甚大な被害をもたらすことが、危惧されている。一番の心配は、東京~大阪間の大動脈でる東名高速道路と東海道新幹線が地震と津波によって静岡県で寸断されることである。その対策として第二東名高速道路とリニア新幹線が建設されている。しかし、静岡県川勝知事の反対によって、2027年のリニア新幹線の開業が絶望視されている。南海トラフ巨大地震が来る前に、完成することを心より願っている。川勝知事が、これからどんな判断を下すのか、注目である。

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