10月23日、5年に1度の中国共産党大会を経て、習近平総書記は異例の3期目一強独裁体制をスタートさせた。これまで、「2期10年」「68歳定年」の慣例を破り、習氏側近で固めた新指導部チャイナセブンの誕生である。この2つの慣例は、共産党の個人崇拝を防ぐ機能を果たしていただけに、非常に残念な結果である。習氏は、2012年に総書記に就任し、それまでの外交路線「とう光養晦」(能あるタカはツメをかくす)を放棄し、超大国として米国と対峙する路線に舵を切った。それは、「一帯一路」や南シナ海への海洋進出等、対外膨張軍拡政策であった。
国内に目を向ければ、「ゼロコロナ政策」「不動産バブル問題」、そして少子高齢化・人口減少社会の到来と、課題山積みである。習氏はこの10年、一強独裁体制確立に邁進し、人民にナショナリズムに火を付け煽り続けてきた。それは、「世界で中国が一番 中国で共産党が一番 共産党で習近平が一番」の魔法をかける事であった。しかし、魔法はいつか解けるものである。その時、どんな中国になるのか、興味は尽きない。このままの政策が続けば、ナショナリズムが制御不能のモンスターに育ち、習氏3期目が惨期目になる可能性は、否定できない。
中国は、1985年に鄧小平の提唱により始まった「先富論」(先に豊かになれる地域や人々から豊かになればいい)、そして改革開放政策によって目覚しい経済発展を遂げ、2010年には日本を抜き世界第2位の経済大国になった。その結果、貧富の差が拡大し社会の分断が進み、人民の不満が募り格差是正が喫緊の課題となった。本来、共産党は農民を守る政党だったはずだが、いつのまにか農民を食い物にする、腐敗が蔓延する金持ちクラブに変貌を遂げた。
農村から生まれた共産党、中華人民共和国の創始者毛沢東、その信奉者である習近平、その習氏が提唱するのが「共同富裕論」(人民を平等に豊かにする)である。これは、格差是正を目指す政策であると同時に、腐敗した金満共産党への強烈な批判と言える。しかし、新指導部は経済の門外漢ばかりで、理想はよいが経済運営が心配である。もう一つの心配は、政権維持のためナショナリズムの高まりに迎合し、台湾侵攻の冒険主義に陥ることである。
改革開放の社会主義市場経済からの脱却が、中国をどのように変革させるのか、これからも目が離せない。「共同貧乏」にならないことを祈る。
