5月26日、小泉新農林水産大臣は今後放出する備蓄米を店頭で、5キロ2千円(消費税抜)で販売すると発表した。今回は、令和3年・令和4年の備蓄米30万トンで、直接大手小売業者と随意契約を始めると、同時に発表した。この1年で米価は2倍となり、国民からの批判を受け、前例のない新方式での放出となった。前回までは、競争入札で行ってきたが、米の価格は上がる一方で、石破首相に対する風当たりは強まるばかりであった。江藤前大臣の失言によって、新大臣となった小泉氏の手腕が問われることになる。
今回の令和の米騒動は、前回の冷害によって米不足になった平成の米騒動(1993年)とは違い、米価格の高騰が原因である。平成の米騒動では、外米が多く出回り、私自身も初めてタイ米を食する機会を得た。長粒種のタイ米は、パサパサしてカレーライスやチャーハンに向いているが、お茶碗で食べる米ではなかった。改めて、日本米の美味しさを再認識させる出来事であった。今回の米騒動は、これまで聖域と言われてきた米政策の一大転機をもたらすのか、自民党と農協にとって正念場である。
一様、今回の価格高騰は米不足によると言われるが、なぜこれほど高騰したのか原因がはっきりしない。一つ気になるのは、インバウンドの影響である。昨年令和6年の訪日外国人数は3687万人、消費額は8.1兆円と共に過去最高を記録した。この8.1兆円の中には、食事の費用も入っている。日本食ブームもあり、お米を食べる外国人は多い。これだけの人数であれば、米の消費量もかなり多いはずであるが、新聞やテレビで報じられることはない。農林水産省は、日本人だけでなく訪日外国人ががどれだけ米を食べたのか、試算してもらいたいものである。
古来より、米は日本人にとって政治・経済・文化に影響を与える特別な存在であり、宗教行事には欠かせないお供え物である。これからも適正な価格で食べられる、主食であり続けてもらいたいものである。

