余慶の功徳
- 2014年5月1日
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4月23日、米国のオバマ大統領が、国賓として来日した。米国との関係は、日本にとって最重要事項であり、これからの日本の行く末を占う、大事なものである。靖国神社参拝でギクシャクした関係を修復し、これから中国にどのように対処するのかが問われる、首脳会談となった。そんな中、行われた首脳会談の最大の収穫は、「尖閣諸島を含む、日本の全ての領域は日米安全保障条約第5条の適用対象」であると、オバマ大統領が明言したことにある。第5条とは、米国の対日防衛義務を定めた条文で、これこそが今まで米国に求めてきたものである。この御墨付きは、中国に対する大きな抑止力になる。
米国が、ここまで踏み込んだ発言をした背景には、ウクライナ情勢がある。ロシアが、力ずくでクリミヤ半島を強奪し、又東部で揺さぶりをかけている。この現状を容認すれば、19世紀の弱肉強食時代へ逆戻りしかねないとの、懸念がある。そして、中国がロシアのマネをすれば、戦後の国際秩序が崩壊するとの、危機感がある。このような状況下で、オバマ大統領の訪日が実現したことが、安倍首相に有利に作用した。安倍首相は、それにしても強運の持ち主である。大リーグに行っても負けない田中将大、オリンピックで転んでも金メダルの羽生結弦と、よく似ている。
安倍首相の祖父は、1960年に「日米安全保障条約」を調印・批准した岸信介元首相である。当時は、日本国中「安保反対」の嵐が吹き荒れ、死者まで出す騒動となった。しかし、結果的には高度経済成長を成し遂げ、東西冷戦の勝組となり、今日の豊かな日本の礎を築いた功績は、大である。半世紀を経て、改めてこの条約の有効性が確認され、岸元首相の先見の明に、感謝しなければならない。
安倍首相は、この祖父から余慶(先祖の善行によって子孫が得る幸運)の功徳を頂いた。今回の日米首脳会談の陰の主役は、岸元首相だったのかも知れない。