儒教と火葬
- 2017年3月1日
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2月13日、金正恩朝鮮労働党委員長の異母兄金正男氏が、マレーシアのクワラルンプール国際空港で暗殺された。その実行犯は、北朝鮮工作員に操られた、インドネシア国籍の女とベトナム国籍の女で、猛毒VXガスを使った前代未聞の犯行であった。金正男氏は、北朝鮮の最高指導者であった故金正日総書記の長男で、本来なら後継者になる人物であった。しかし、なぜか長男を差し置き、三男の正恩氏が後継者になった。
儒教社会の北朝鮮では、家督を継ぐのは長男で、三男が継ぐことは通常ありえない。その三男が、長男を暗殺したとなれば、道徳的に許されない行為で、「兄殺し」は重罪である。これが国民に知れ渡れば、北朝鮮にとって一大事である。そこで考えられたのが、遺体を火葬して引き渡せという、最初の要求であった。
日本人は、火葬されるのが当たり前と思っているが、世界を見渡せば土葬が多数で、火葬は少数派である。よく、日本の常識は世界の非常識といわれるが、火葬についても同じことがいえる。世界の4大宗教、キリスト教・イスラム教・儒教・仏教の中で、火葬を是としているのは、仏教だけである。それは、教祖であるお釈迦様が死後荼毘に付され、その舎利が信仰の対象として、崇められたことに由来する。日蓮聖人も、東京池上で亡くなり荼毘に付され、その後山梨県身延山に埋葬された。
日本の火葬率は99パーセント、これは世界一である。これ程、火葬が普及したのは、社会にしっかり仏教が根付いていたからである。火葬率は、その国の宗教事情を垣間見ることのできる、一つの指標なのである。